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「海岸清掃によるストレス・気分の変化」に関する新潟医療福祉大学との実証実験結果発表

海と日本プロジェクトin新潟実行委員会は、新潟医療福祉大学健康スポーツ学科スポーツ生理学ラボ佐藤大輔教授と共に、「海岸清掃によるストレス・気分の変化」について2023年10月~2024年3月に実証実験を行い、2024年8月に調査結果を発表しました。

2024.08.28

海と日本プロジェクトin新潟実行委員会は、新潟医療福祉大学健康スポーツ学科スポーツ生理学ラボ佐藤大輔教授と共に、「海岸清掃によるストレス・気分の変化」について2023年10月~2024年3月に実証実験を行い、2024年8月に調査結果を発表しました。この実証実験は、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環です。

実証実験①:アスファルトと海岸の清掃活動を実施し、活動前後の6項目の数値を比較
【目  的】ごみ拾いが健康増進効果を生むか否か
【日  程】2023年10月7日(土)
【開催場所】関屋浜海水浴場・BSN本社周辺
【参加人数】42名
【協力団体】新潟医療福祉大学 明治安田生命新潟支社 無印良品生活新潟空港店

実証実験① 測定内容
【測定内容】活動前後で下記6項目を測定
①ストレスレベル ②血糖値 ③認知機能:抑制機能 ④膝・腰への負担感を主観的に評価 ⑤運動強度 ⑥心拍数

Borg Scale Borg Scale

【詳細】
①ストレスレベル
・唾液アミラーゼモニター(ニプロ社)を用いて、唾液中のアミラーゼ活性値(KU/I)を測定。
・ストレスレベルをチェックすることで、清掃活動前後の快適度を調査

②血糖値(血液を採取)
・血糖値測定器を使用して、30分の活動前後で血中の血糖値を評価。

③認知機能:抑制機能
・反応時間をもとに算出するストップシグナル反応時間の変動により、清掃活動による抑制機能に対する効果を測る。

④膝・腰への負担感を主観的に評価
・Visual Analog Scale(通称VAS)法を使って、負担の強度を測定。長さ10cmの線(左側が全く負担なし、右側が最大の負担感)を引いて、海岸とアスファルトで負担がどの程度違うかを指し示す視覚的なスケール。

⑤運動強度
・Borg Scaleを用いて、活動時の自覚的な運動負担度を評価。6~20の数値で表す(右図参照)
Borg Scaleとは、運動を行う本人がどの程度の疲労度を感じているかを測定する指標。
・様々な運動処方において推奨されている強度は、「13」程度とされている。

⑥心拍数
・心拍数を計測することで、清掃活動の「運動強度」を評価。
Borg Scaleであてはまる数字を10倍すると、1分間あたりの心拍数に対応する。

(左図)清掃活動をしたことでストレスレベルは変化しなかった。 (右図)血糖値は、30分の活動で変化した。
(左図)清掃活動をしたことでストレスレベルは変化しなかった。 (右図)血糖値は、30分の活動で変化した。


【実証実験①結果】海岸清掃は血糖値やストレスを低減する活動になりうる

①ストレスレベル
→海岸清掃・アスファルト清掃どちらとも、ストレスレベルの有意な変化は認められなかったが、海岸清掃では、清掃前のストレスレベルの高い対象者ほど、清掃によってストレスレベルが低下した。

②血糖値の変化
→清掃活動によって血糖値の有意な低下が認められた。清掃活動は、血糖値が高い人には効果的といえる。

③認知機能:抑制機能
→海岸清掃・アスファルト清掃ともに、抑制機能を有意に変化はなかったが、清掃前の抑制機能が低い対象者ほど、清掃によって抑制機能が向上したことから、いずれの清掃活動でも、抑制機能の低い人に効果的であるといえる。

④~⑥ 膝・腰への負担感や心拍数の変化
→心拍数は、海岸清掃の方が有意に高い値となり、アスファルトの清掃活動よりも高い運動強度であった。膝や腰、主観的なきつさは同等である。


実証実験②:清掃活動と2種類の運動を実施し、効果を比較
【目  的】清掃活動とウォーキング・ドレッドミルを実施し、運動内容による効果を比較
【日  程】2024年1月~3月
【開催場所】新潟医療福祉大学学内で実施
【参加人数】実証実験①で海岸清掃に参加した内の15名

実証実験② 測定内容
【測定内容】活動前後で下記5項目を測定
①ストレスレベルの変化 ②血糖値の変化 ③抑制機能の変化 ④膝・腰の負担感 ⑤運動強度
※海岸清掃・アスファルト清掃・自転車エルゴメーター・トレッドミルウォーキングで運動効果を比較
※①~⑤の測定内容において、それぞれの運動で変化を測定。

【実証実験②結果】海岸清掃は腰への負担感や運動の疲労感が低いという結果に

①ストレスレベルの変化
→それぞれの運動でのストレスレベルは変化がなかった。計測環境(屋外、気温、人数等)による、影響が考えられる。

②血糖値の変化
→それぞれの運動で血糖値の低下が認められた。計測前の食事有無やタイミングによる影響もある。

③抑制機能変化
→それぞれの運動での抑制機能は変化がなかった。

④膝・腰の負担感
→膝への負担感については、いずれの運動でも有意な差は認められなかったが、腰への負担感は、海岸清掃が最も低かった。

⑤運動強度
→それぞれの運動での心拍数(客観指標)には有意な差は認められなかったが、運動を行う本人がどの程度の疲労度を感じているかを測定する指標である自覚的運動強度(主観指標)は低かった。

▲②血糖値の変化のグラフ。いずれの運動においても値が低下している。
▲②血糖値の変化のグラフ。いずれの運動においても値が低下している。


まとめ:ごみ拾いは健康増進に有効な活動である

上記の実証実験結果から、清掃活動においては、高ストレスレベル、高血糖、低抑制機能の人には改善効果が見られたことから、清掃活動が健康増進に有効な身体活動・運動の一つになりうる結果となった。

今回はさまざまな年代を対象とした実験であったが、今後はシニア世代において、清掃活動が介護予防やフレイル予防に有効であるかどうかを検証していきたい。