「海の自由研究フェス2023」で気軽に楽しく! 身近な海洋問題に触れるきっかけを子どもたちへ<助成事業者インタビュー>
東京・原宿で7月15日(土)・16日(日)に開催!スケールアップした第5回イベントに大注目
2023.07.13
海と日本プロジェクトの助成事業のひとつ、「海の自由研究フェス2023」が7月15日(土)・16日(日)に開催されます。人気も認知度も年々高まっているイベントですが、5回目の開催となる今年は、規模も内容も格段にスケールアップしています。
会場は、東京・原宿駅前の複合型商業施設「WITH HARAJUKU」。地下1階から地上3階までを使用して、スペシャルゲストによるトークショーや、施設内を周遊するビンゴスタンプラリー、みんなで共同制作する巨大なプラごみアートなどなど、買い物ついでに親子で気軽に参加できるコンテンツが盛り沢山!
また人気のワークショップは事前抽選での参加となりますが、7種類の各講座を1日5回、2日間で計70講座が実施される予定です。
このイベントを企画したのは、2002年に原宿で誕生して以来、20年間にわたりごみ拾いを続けてきたNPO法人green bird。ワークショップの講師や受付、広報、設営など運営のほぼ全てを学生メンバーが担うなど、これまでにない挑戦をしているそう。
「ここ数年のイベントはコロナ禍で開催中止になったりオンライン開催になったりでした。万全の体制でできるのは4年ぶりのことで、今年は満を持しての開催となります。自分自身も行きたいと思えるような内容になっています」と自信と意欲をみせるgreen bird代表の福田さんにお話を伺いました。
過去最多のコンテンツで開催!ふらりと立ち寄っても楽しめるワクワクの2日間
コロナ禍で思うようにイベントを実施できなかった過去数年の間に「海洋問題などに対する社会的な関心は高まり、子どもたちの理解も深まってきています。だからこそもっと多くのことを伝えたい、そう思うと従来の会場ではキャパオーバーで、今回は初めて大きい会場に移して、コンテンツも増やしていこうと準備を進めてきました」
コンテンツの拡充は今年の特徴ですが、例えば自由研究課題に活かせる人気のワークショップ「海のワクワク体験講座」は7種類に増えました。
乱獲問題の対象になっている魚のリアルな模型を作るワークショップでは、食品トレーに作った模型の魚を入れてMSC認証マークをつけるところまで手がけてもらいます。大事にしているのは、ただ作るだけでなく学びの要素をしっかり盛り込むこと。定員6名という少人数制の利点を活かして、一人ひとりとコミュニケーションを取りながら、海洋資源問題について考えられるよう工夫しています。
また予約なしで誰もが気軽に参加できる無料コンテンツも多彩に用意。トークショーではSNSで人気の「WoWキツネザル」やさかなのおにいさん「かわちゃん」が海の環境問題や生き物の秘密を楽しく解説。ビンゴスタンプラリーは施設内に隠されたポイントを探して海洋生物と環境問題の関係を紐解く内容で、巨大なプラごみアート制作は会場を訪れたみんなで海の生き物を描いていく参加型コンテンツです。
他にも、サスティナブルマルシェ、さかなクンの「プラギョミ『0』プロジェクト展」、企業ブースでは実際の環境問題への取り組みや製品を紹介するなど、過去最多のコンテンツで開催されます。
そしてこれらのコンテンツの企画と運営は全て、学生ボランティアをはじめとするスタッフが自ら、こだわりと情熱を傾けて取り組んでいる点も、この人気イベントの特徴のひとつと言えそうです。
イベントの企画運営を担うスタッフの多くは学生ボランティアたち
福田さんによると、「昨年度からイベント会社へは依頼せず、企画や運営のほぼ全てをgreen birdのメンバーで担うことに切り替えました。それが自分たちの財産になると考えたからです。企業ブースへの出展交渉も200社くらいにアプローチしていますし、ワークショップアイデアも300案ぐらい出しあって、こだわってつくっています」
ボランティアスタッフは主に学生ですが、責任と自覚を持ってもらうために有償にしているそうで、
「ワークショップ講師として台本を見ずにやりきれるように、スタッフは1カ月間みっちり研修しています。難しいことに挑戦してもらっていると思いますが、達成感も得てくれているのではないでしょうか。
学生のボランティア参加の理由はさまざまで、環境問題に関心がある学生は1割程度だと思いますが、入口はなんでもいいんです。ここでの経験や知識を、これから掘り下げていってほしいと思います」
スタッフたちをもうひとつ別のステージに導きたい、そんな思いに応えるメンバーたちがイベント全体のクオリティを支えてくれていました。
ごみ拾い以外で「海の自由研究フェス」で海洋問題に触れるきっかけを提供したい
学生スタッフからは「後輩が参加したがっている」といった声を聞くこともあり、裾野の広がりを感じているそうですが、そもそもgreen birdの活動は2002年に原宿から始まり、現在は国内外70拠点のチームでごみ拾い活動を展開するまで大きくなったとか。
そんななか、ごみ拾い以外の方法で環境問題に触れる機会を子どもたちに提供できないかと考え、2018年に「海の自由研究フェス」がスタートしました。
「環境問題に熱心な子どもをつくりたいのではなく、多くの子どもたちに自分たちの身近な問題なのだと気づいてもらいたい。例えばマイバッグの利用がどう環境対策につながっているのか、取り組みの本質を知ってもらうことが大事ではないかなと」
イベント名を「自由研究」としているのも、環境意識の高い子どもだけではなく、誰もが気軽に参加できる場になるようにと考えてのこと。これをきっかけに関心を持ってもらえたら、次のアクションにつなげてもらえるはず。
「そのためには、ただのお勉強ではなく、楽しく体験しながら学べることが大事。どれだけやわらかい内容に仕立てられるかがカギだと思っています」
現在は、毎年楽しみにしてくれているリピーター層も多く、東京以外にも千葉、埼玉、神奈川などから参加があるそうです。子どもたちも自分の作品を誇らしげに写真に撮っていたり、ノートにたくさんのコメントを書いてくれたり、みんなが楽しそうに帰っていく姿を見て、やりがいも感じているのだとか。
ごみ拾い活動20年の実績を活かして次のアクションも計画中
今後の展開について伺うと、「大人の自由研究も必要かなと考えています。マイクロプラスチックやサスティナブルフードなど、子どもは授業で習って知っていますが、親御さんのほうは知らないことが多いんです」
そこで、今年は従来のフェスで行ってきた「キッズごみ拾い」を秋に時期をずらして開催予定ですが、「子どもたちがビーチクリーンをしている間に、親御さんたちに向けて会議室で環境問題についての勉強会を開催する予定にしています。子どもと同じ目線で一緒に考えてもらえたらなと思っています」と次のアクションを準備中とのこと。
また来年のイベントについては、東京だけでなく全国5カ所での開催を計画中だそうで、
「コロナ禍で経験したオンラインイベントでは、全国の子どもたちが参加できたことがメリットでした。そこで感じたのは、都会の子どもたちは環境問題についての勉強機会や環境活動に触れる機会に恵まれているなということ。地方で開催する意義を感じました」と振り返ります。
昨年はニュース報道でイベントの様子が取り上げられ、最近は企業からの視察も増えているのだとか。年々関心が高まっていますが、「期待に応えられるように質を高めていかないといけない」と気持ちを新たにされていました。
「これまでに培ってきたものを最大限に生かして、ごみ拾い活動の一歩前にある『捨てさせない』社会づくりも目指していきたい。20年ごみ拾いしてきたプライドがあるので、ほかの環境イベントに負けないぞと思っています」と力強くこれからの展望を語ってくださいました。
去年より今年、今年より来年とスケールアップしていく「海の自由研究フェス」。どんな形に進化していくのか、今後のイベントにもぜひご注目ください。