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川崎の子どもたちへ川崎港と海の魅力を伝えたい「川崎みなと祭り」<助成事業者インタビュー>

国内有数の貿易港、川崎港で海を学ぶ。子どもも大人もコンテナターミナルで非日常体験!

2023.12.14

川崎の子どもたちへ川崎港と海の魅力を伝えたい「川崎みなと祭り」<助成事業者インタビュー>

日本有数の貿易港「川崎港」。国内・国際輸送の両面で高い機能を持ち、5つある国際戦略港湾のひとつに数えられる最重要港です。

「川崎みなと祭り」は、そんな川崎港の魅力を市民に伝えるイベントで、2023年度に通算50回目の開催を迎えました。
3年前に初めて日本財団 海と日本プロジェクトの助成を受けてから、秋のメインイベントのほかに通年でさまざまなイベントを定期的に提供しています。

通年で実施するイベントのメインターゲットを子どもやファミリーにしているのは、まずは小さい頃から川崎港の存在を意識してもらうため。そして貿易港としての重要性についても興味を持って学んでもらおうと、川崎市教育委員会の協力のもと学校と連携した学習イベントも展開中です。

普段は入れないコンテナターミナルを間近に見ると、その大迫力に子どもも大人も誰もが圧倒されるそうで、イベントはたいへん好評です。これを可能にしているのは関係機関の協力があればこそですが、およそ50年にわたる活動で築かれた関係機関との密な協力体制も、強みのひとつです。

50回という開催実績をもちながら、意外にも川崎市民からの認知度は思うほど高くはないそうで、「もっと認知度を上げていきたい」と企画のブラッシュアップと広報活動に力を注いでいるという実行委員会メンバー、山﨑敏広事務局長はじめ、橋本しのぶさん、港湾局の上田担当係長に詳しいお話を伺いました。

イベントでは立ち入り禁止エリアも特別に許可を得て見学。大迫力に圧倒される刺激的な学びに

川崎みなと祭り実行委員会が取り組んでいる2023年度の助成事業では、一年を通じて定期的に、親子海釣り教室、川崎港見学ツアー、はだし運動会、川崎港クルーズ、川崎港夜景見学ツアー……など、数々のイベントや学習会を企画・開催してきました。
誰もが楽しめるイベントになっていて、応募も年々増えているそうです。今年の参加者はおよそ450人にのぼりました。
参加者からは「川崎港についてやっとわかった」「楽しみにしていて初めて来ることができた」など嬉しいお声もたくさんいただいているそうです。

さらに、これらのイベントとは別に、小学校の社会科の授業と連携して港湾の現場を体験する「特定校川崎港見学ツアー」を、市内小学校5年生を対象に実施しています。事前予習として港湾局職員が学校に赴き特別授業を行うこともあり、ここで活用するデジタル副読本も日本財団 海と日本プロジェクトの助成で制作したものなのだとか。
イベントでは立ち入り禁止エリアも特別に許可を得て見学。大迫力に圧倒される刺激的な学びに01
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これらのイベントや学習会の大きな魅力は、ふだん入ることができないエリアでコンテナクレーンが動いている風景などを間近で見られること。本来、ターミナルの敷地内はSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)に基づいて、テロ対策の見地からも立ち入りが厳しく制限されていますが、見学を可能にしているのは、関連機関の協力があればこそなのだとか。

川崎みなと祭り実行委員会の事務局運営は川崎港振興協会が担っていますが、ほかに川崎市、川崎港運協会、川崎海事広報協会、川崎商工会議所、川崎市観光協会、川崎臨港倉庫埠頭株式会社など、多くの関連機関の協力があり、開催を実現しています。
そこには、将来の港湾労働者不足の解消につながればという共通意識もあるそうですが、おかげで、目を輝かせた子どもたちから「将来あの機械に乗りたい!」などの声も寄せられているのだとか。
同行した先生方からも、「非日常を肌で感じられた」「実際に体験するとインパクトがあり良い学びになった」など大きな反響があり、教育現場との良い循環が生まれ始めている様子です。
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子どもたちの笑顔を糧に、反省点を次年度の企画の改善点に

振り返れば「川崎みなと祭り」は、市民に海と親しんでもらう、海にきて港を知ってもらう。この2つが基本コンセプトとして当初から継承されてきました。

「実際のイベントで、子どもたちが実際に海と船を間近で見ながら声を出して楽しんでいる様子を見ると、やって良かったなと思います。子どもたちの笑顔が力になっています。
反面、時間的な制約などがあって子どもたちに無理のかかる設定をしてしまっただろうかという反省点も残ります」と山崎さん。
応募数も増え、関心度が増してきたと感じるからこそ、次年度のイベントは改善したいとおっしゃいます。

同じく上田さんも、「子どもたちの楽しそうな顔が見られて嬉しかったですし、小学生の川崎港見学ツアーで児童から『勉強になった』という言葉を聞けて、やってよかったなと嬉しく思いました。
課題点は時間配分で、スケジュール通りに進めるのが難しいことです。子どもたちを集団で動かすには思った以上に時間が必要でした。ほかにも学校の先生と話していると、どんな注意や配慮が必要なのか、児童の生活実態にあわせたアドバイスが聞けて、非常に勉強になりました。
今後も、多くの子どもたちに有益な学びを提供していきたいと考えています」
と楽しみな報告も聞くことができました。

橋本さんが印象的に感じたというのは、釣り教室でのエピソード。
「釣り教室に参加した子たちが、川崎に魚がいること、川崎に海があることも知らなかったと話していたんです。その子たちが実際に魚を釣りあげて捌いて、命をいただくところまで親子で体験していて、素晴らしいなと感じました。同時に、川崎で卸されたバナナが東日本に展開されていることなど貿易港としての活躍も知ったようです。私自身、親御さんと同じ目線になって楽しく携わせてもらったのですが、参加者の実際の声を聞いたからには、これからもっと頑張らないといけないなと思いますし、参加者視点でイベント内容を改善していけたらと思っています」

今年度の気づきを次年度に活かしたいと、三者三様の意欲的なコメントを寄せてくださいました。
子どもたちの笑顔を糧に、反省点を次年度の企画の改善点に01
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子どもたちの笑顔を糧に、反省点を次年度の企画の改善点に03 

海は財産であり、命の源。生活のすぐそばにある、みんなの身近な存在

最後に、みなさんにとって、海とはどんな存在なのかお聞きしてみました。

上田さんは愛知県の内陸の出身で、海が身近になかったそうですが、「海は誰のものでもない、魅力あふれるみんなの財産だと思います。港、海は生活に密着した身近なものであると想っているし、伝えています。将来にわたって市民のみなさんに残していきたいです」と現在は川崎市港湾局の職員として海への思いも深めているように感じられました。

川崎の対岸の千葉市出身で、海はずっと近くにあったという橋本さんは「自然が大好きで、取り組みのなかでも港の大事さをいろんなところで知ることができました。そんな海は『命の源』だと思います。たとえ近くに海がなくても、さまざまな視点から海を考えて身近に感じて守っていってほしい。いろいろできることはあると知ってもらえたらと思います」

そして川崎市生まれという事務局長の山﨑さんは川崎市港湾局の出身で今までいろいろな立場で海に関わってきたそうです。
「川崎港は市民生活に密接につながる、世界に開かれた港です。冷蔵・冷凍食品や生活雑貨が入ってくる『自分たちの生活に関わる、とても重要な港だよ』と子どもたちに案内しています。『海は身近なもの』です。川崎港を知ってもらうことも大事なのですが、海の豊かさや大切さを、イベントを通して皆さんに感じてもらいたいと思っています」

来年、また川崎市のさまざまな関連機関と連携しながら実施される51回目の川崎みなと祭りや、学校との次の連携事業がどのように進展するのか、これからも引き続き注目です。
海は財産であり、命の源。生活のすぐそばにある、みんなの身近な存在01
海は財産であり、命の源。生活のすぐそばにある、みんなの身近な存在02