2024年度の新作も公開! 海ノ民話アニメーション全92作品をお楽しみください
エリア別、キャラクター別、演出家別とさまざまに検索可能。地元に伝わる海ノ民話にも注目を!
2025.01.23
日本各地に残っている海にまつわる伝承を掘り起こしてアニメ化していく「海ノ民話のまちプロジェクト」では、今年度、新たに25本の海ノ民話アニメーションが完成しました。
それぞれの物語には、海の恵みへの感謝や自然に対する畏怖など、土地に伝わるさまざまな「思い」や「教え」が描かれていて、いまも各地で続々と、完成披露上映会などが実施されています。
2018年のプロジェクト開始から現在までに制作された全92作品は、海ノ民話のまちプロジェクト公式YouTubeチャンネルで公開しています。
海ノ民話のまちプロジェクト公式サイトでは、エリア別、キャラクター別、演出家別などで作品を検索できるうえ、民話の舞台となっている地域の情報なども知ることができるので参考にしてください。
意外と知らない地元の海の民話にも、ぜひ注目してみてくださいね。
今回の海のコラムでは、事務局スタッフの間で話題にのぼったお気に入り作品をご紹介します。
みなさんはどのアニメーションがお好きですか?
飢えに苦しむ村を救ってくれた鯨神様に感謝!富山県射水市の「鯨神輿」
ひとつ目は、富山県射水市の海ノ民話です。これは夢で神様のお告げを受けた船頭たちが海に潜ってみると、海底で命が燃え尽きようとしている鯨を見つけて…というお話。
飢えや水害に苦しむ村人たちを救った鯨の姿と、救われた村人たちの感謝と自然をうやまう心が描かれていて、あたたかい気持ちになります。いまも地元の「海老江曳山(えびえひきやま)まつり」では鯨神輿が練り歩くなど、海とのつながりが伝えられているそうです。
「鯨神輿(くじらみこし)」富山県射水市
争いを諌め、地域で支え合う大切さを伝える宮城県南三陸町の「神割り岩」
同じく鯨が登場する民話ですが、宮城県南三陸町に伝わるのは、村境に大きな鯨が打ち上がり、争いが激しくなったときに雷が岩に落ちて…というお話。
落雷を神様からの教えだと受け止めて、みんなで分かち合いながら生きる大切さを学んだ村人たちですが、地域で支えあうその姿は、震災から復興に立ち向かう現代の町にも重なって見えてきます。
落雷で割れたという神割崎(かみわりざき)の岩の裂け目からは現在も、年に2回、神々しい日の出を見ることができるそうです。
「神割り岩(かみわりいわ)」宮城県南三陸町
江戸の海が近かった荒ぶる川の主に思いを馳せる「千住大橋と大亀」
海ノ民話は現在では海に接していない東京都足立区にも伝わっています。かつて大変な暴れ川だった隅田川に橋をかけようという土木工事にまつわる民話で、川の主である大亀の存在を気にかけながら千住大橋を完成させたというお話。大亀様が怒ると橋の下で舟がひっくり返ると言われたりもしたそうですが、当時は埋め立て前で今よりずっと海が身近な場所であり、水難事故に備える意識が必要だったことが伺えます。個人的には、アニメーションのなかでなかなか姿を表さない大亀様の表情がとても印象的で記憶に残ります。
「千住大橋と大亀」東京都足立区
亡霊が彷徨っていた!? 三河湾の安全を見守る「仏島」
作画にホラーのような怖さがあると話題にのぼったのは、愛知県蒲郡市の海ノ民話アニメーション「仏島」。物語は事故が多発する死者の海で、石塔を運んでいた船乗りの兄弟が亡霊に襲われたというお話ですが、これは三河湾が複雑な地形で事故が起こりやすい場所であるということと、海での行動を戒めるようにと教えてくれています。
亡くなった方々を供養したという仏島は、今も引き潮のときだけ顔を出すそうで、まるで安全を見守ってくれているようです。
「仏島(ほとけじま)」愛知県蒲郡市
イケメン武将が登場!神奈川県鎌倉市の「龍神と黄金の太刀」
イケメン武将が登場すると話題になったのは、今年度の新作、神奈川県鎌倉市の「龍神と黄金の太刀」です。描かれているのは、鎌倉討伐軍の武将、新田義貞が三方を山に囲まれた地形に苦戦するなか、稲村ヶ崎で龍神に黄金の太刀を捧げて祈り、潮の引いた海岸から鎌倉へ攻め込んだという伝説。潮の満ち引きなど自然の力を理解することで、海岸での行動の注意喚起にもつながります。民話のなかに有名な古都鎌倉の地名がたくさん登場している点も楽しめます。
「龍神と黄金の太刀」神奈川県鎌倉市