稚魚や幼生を放流して、海の資源を育む。
海の未来につながる取り組みをご紹介します!
2019.09.06
広大な海にはさまざまな生物が息づいています。私たちはその豊かな資源をときに美味しくおすそ分けしていただいています。でも、いくら海が広大といっても、資源は無尽蔵というわけではありません。大切な海の資源を守り、育てる必要があります。そうした意識を育むため、各地の浜辺や海で、市民が参加する稚魚や幼生の放流が行われています。
ヒラメの稚魚放流と海岸清掃に親子で参加
香川県高松市では、毎年ヒラメなどの稚魚放流が行われています。放流の前には海岸の清掃も行われる、きれいで豊かな海を守る活動に今年は約50名の親子が参加しました。
この日参加した人たちの中には、海岸のゴミの多くは町で捨てられたものと知って驚き、住まいの近くでの清掃活動が海を守ることにつながると気づいた人も多かったようです。
ゴミの清掃も稚魚の放流も、小さな取り組みが大きな結果につながることが感じられたイベントとなりました。
稚魚放流&海浜清掃
船上からマダイの稚魚を海へ放流
鹿児島県垂水市では、小学生がマダイの稚魚を放流しました。こちらも毎年開催されているマダイの放流といけす見学のイベントです。
およそ体長7cmに育った稚魚を船の上から海中へと放流した子どもたちは、「たくさん増えて、また戻ってきてほしいと思う」などと話していました。
「いってらっしゃい」垂水市、小学生がマダイ稚魚放流
1日で5000匹のカサゴの稚魚を放流
山口県山口市でも20年ほどまえからカサゴの稚魚が放流されています。秋穂湾に集まった幼稚園児たちは、バケツの中に入れられた小さなカサゴをじっくり観察してから放流。山口市全体で5000匹もの稚魚が放流されました。
【山口市】カサゴの稚魚を放流
絶滅危惧種を守る! カブトガニの幼生を放流
一方、佐賀県では、カブトガニの幼生が放流されました。場所は伊万里市の多々良海岸、日本最大のカブトガニ生息地として知られる海岸です。
体長1cmほどの小さなカブトガニの幼生は、多々良海岸で生まれた卵を子どもたちが育てたもの。命を育てる大切さ、絶滅危惧種であるカブトガニの保護などについて学ぶよい機会となっています。
参加した子どもたちは、「多々良海岸はカブトガニが産卵にくる、とてもよい海岸だと思う」、「きれいな海にしていきたい」などと話していました。
生きている化石 カブトガニ放流
稚魚や幼生の放流は、小さな命が育っていく海の豊かさや、限りある水産資源の保護などについて考える良い機会となります。また、単年の試みに終わることなく、継続して行われていることがとても重要です。