参加者同士の交流でウニや海を学び、そして表現するイベント、「全国一斉ウニの発生体験2023年度冬」を開催しました
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所は「全国一斉ウニの発生体験2023年度冬」を開催。教材を発送し全国各地でウニの発生実験と幼生飼育に取り組み、オンラインで交流しながら海を学びました。学びを表現する作品コンテストでグランプリも決定しました。
2024.03.30
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所は、教材を学校や家庭やサークル等に発送し、参加者同士の交流をオンラインで行いながらウニの発生実験と幼生飼育を通して海について学び、学んだことを表現する「全国一斉ウニの発生体験2023年度冬」を2024年1月から3月にかけて開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
冬に繁殖期を迎えるバフンウニを利用した「未受精卵と精子」「植物・動物プランクトン」の各教材を全国各地に送付し、関連するオンライン相談会・オンライン報告会・表現作品コンテストを開催しました。参加者は各学校、家庭、サークルなどでそれぞれ受精実験に取り組み、発生観察をしながら海について学びました。
日程
2024年1月24日から3月31日(イベント期間)
*2月15日に相談会、3月18日に報告会、3月21-31日に表現作品コンテストの各オンラインイベントを開催しました。
開催場所
オンライン(教材送付は各学校や家庭やサークル宛てに行いました)
参加人数
学校104校10,998名、一般(個人とサークル等の拠点)22件141名、合計11,139名
オンライン相談会と報告会で交流しながらウニの実験について学びました
このイベントでは「ウニの未受精卵と精子」を受精実験の教材キットとしてお届けします。受精実験のあと、孵化した幼生の世話を続けるためには「植物・動物プランクトン」という別の教材もセットで利用し、自分たちで植物プランクトンの珪藻を育ててウニの幼生に給餌します。約一か月でウニの幼生は動物プランクトンとしての浮遊生活を終えて稚ウニに変態します。
教材発送は学校・サークル向けの日程と一般(個人参加)向けの日程とで行い、このうち一般向けの教材が届いた翌日の2月15日にオンライン相談会を開催しました。参加者とお茶の水女子大学スタッフが自己紹介で交流した後、簡単な研修会を行いました。この研修では毎回特別講師を”先輩ユーザー”にお願いしています。今回はダイビングショップ「なぎさひろい」のブログ(https://nagisahiroi.com/)にてウニに関する発信も数多く行っている、いのこ氏が講師を担当してくださいました。人工海水の素の上手な溶かし方についての説明(写真左)が特に参加者に好評でした。いのこ氏による実演動画を駆使した研修の後は、他の先輩ユーザー達が失敗談やマニュアルにはない工夫した点などを紹介してくれました。教材に添付するマニュアルだけでは実験に不安を感じる初心者も多いのですが、このオンライン相談会でそうした不安が取り除けたのではないかと思います。
幼生飼育が一段落した3月18日には学校・一般全てのユーザーを対象にオンライン報告会を開催しました。今回は北は北海道から西は鳥取まで、学校教員、一般参加の小学生、そしてサークル(拠点)で受精実験を体験した参加者、全8名が学んだことを発表してくれました。
学んだことを作品に表現し、コンテスト形式で展示と相互投票を行いました
冬のイベントの締めくくりとして3月21日から31日までオンライン表現作品コンテストを開催し、参加者間投票でグランプリを決定しました。ウニ教材を利用して海について学んだことをスライドや絵画や動画などの表現作品にまとめて出品してもらいました。今回は、観察レポート部門9作品、アート部門20作品、ウニと環境部門に4作品が出品され、力作ぞろいでした。参加者間の相互投票を行うための専用サイトだけではなく、知り合いや家族も作品を閲覧できるように一般公開用のサイトも用意し、93名の方がこのサイトから一般大賞への投票をしてくれました。
観察レポート部門でグランプリとなったのは観察記録をまとめたスライドショーにBGMをつけた作品「SURCH」(左図)で、動画なので内容がすっと入って理解しやすかったという声が多く聞かれました。
アート部門でグランプリになったのは冒頭で紹介した「ウニトランプ」で、トランプ作品だけの出品ではなく、制作過程や遊び方、そして遊んだことで学べることまでをスライドにまとめてあったのが秀逸でした。一般公開サイトでもこの作品は「内容が面白く、とてもいいアイディアだと思った」「トランプで遊びながらウニの成長を学びたいなと思いました。説明のスライドもおもしろかったです!」と非常に高い評価を得ました。
ウニと環境部門は接戦でした。一般公開サイトで「ウニを使って、環境に対してどんなことができるのかを考えるきっかけや、気付きになりました。」「たんに問題点をあげるだけでなく、解決の一端として再利用できそうな方法を具体的に考えているところが特によかったです。」と特に高評価を得た作品「ウニの観察記録と環境問題 」が参加者間投票でも最多得票でグランプリとなりました(右図)。
コンテストの一般公開サイトは、コンテスト期間終了後に内容を再編して公開を続けています。
https://forms.gle/TFE1eUR89EJEC6f3A
ご興味ある方はぜひこちらもご覧ください。
参加した子ども・保護者・学校教員からの声(アンケートより、原文ママ)
オンライン相談会
・大変勉強になりました!ありがとうございました。珪藻の培養がうまくいっていなかったのですが、エアレーションの強さが重要というアドバイスをもとにエアレーションを強くしたところ、タイミングも相まってかとてもよく増えるようになりました!(保護者)
・動画がとても分かりやすかったです(小学生)
・ポケット飼育の水かえの方法がとてもわかりやすかったです。10円玉を下に置くのやってみます。海水の作り方もペットボトルに直接粉を入れてふって混ぜてもなかなか混ざりにくいことがあるので知れてよかったです。ありがとうございました。ペットボトルにカイロをくっつけるのがとてもいいアイディアだとおもいました。ありがとうございました。(小学生)
オンライン報告会
・ウニ胚を観察するための工夫に見入ってしまいした。受精後の経過時間の異なる胚の用意、幼生を入れる容器や補助具の活用、タイムプラスの動画撮影など、さまざまな工夫に感心しました。(学校教員)
・今回の報告会は色々な方の話が聞けて良かったです。(小学生)
表現作品コンテスト
・観察部門だけでなくアート部門もあったことで参加しやすいように感じました。皆様の観察過程や成果を知ることができたのが良かったです。(中学生)
・アート部門にユニークな作品が多かった。指導教員として環境部門をさらに充実させていきたい。(学校教員)
・色々な作品を見ることができ、とても楽しかったです。ありがとうございました。(保護者)
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:11,139人