両備バスとのコラボ企画、毎夏恒例の無料乗車チケットで岡山の海が身近に!
路線バスで子どもたちに海洋体験を。岡山駅から海水浴場までのアクセスを無料にするプレゼント企画を継続的に実施
2021.12.16
岡山県内を縦横に走る両備バス。路線のなかには、岡山駅と海を結ぶラインもあり、この路線を中心に、これまで海と日本プロジェクトin岡山とのコラボ企画がたびたび実施されてきました。
最初にコラボ企画が実現したのは2017年夏。渋川の海まで子どもたちの乗車賃を無料にする、数量限定の無料乗車チケットの配布でした。
以来、「地元の子どもたちにもっと海を体験してもらいたい」という思いから生まれた、海へのアクセス無料チケットは毎夏の恒例サービスになりつつあり、地元市民に喜ばれています。
年によってはバス車内をお魚イラストで飾り付けて運行したり、夏の体験学習イベントの成果レポートを展示した特別仕様のバスを運行したりと、子どもたちにイベントを楽しんでもらうと同時に、乗客に海への興味喚起をもたらすさまざまな工夫が行なわれてきました。
今回は、長期にわたる海プロとのコラボ連携の変遷や反響などについて、両備バスの平本清志さんにお伺いしました。
子どもたちに海との接点を。海水浴場までの無料バスチケットを配布
岡山県の海といえば、有名なのは渋川海岸。「日本の渚百選」「快水浴場百選」にも選ばれている、県下最大、およそ1kmほども続く白砂青松の美しい海岸です。夏は海水浴客で賑わい、一年を通じてマリンスポーツも盛んなのだとか。
両備バスは、その渋川の海と岡山駅を結ぶ路線バスを運行していますが、初のコラボ企画は「小学生を対象に、海水浴場へのアクセスを無料にするチケットを配布することで、地域のお子様に海に親しんでもらうきっかけを作ろうと企画させてもらいました」と、2017年にスタートしました。
当時、渋川海岸沿いの玉野海洋博物館で開催された海プロのワークショップ「海とみらいの絵本プロジェクト」などのイベントに参加した小学生たちにも配布して、興味を抱き始めた海への再来を図りたい思いもあったとか。
以来、無料チケットのプレゼント企画は毎年少しずつ内容を改定しながら継続されてきました。初年は小学生向けの無料乗車券でしたが、翌年から子どもと大人のセット往復回数券に変更。
「親子で使えるようにすることで、海へ出かける機会を増やせたらと考えての変更でした。お子さんたちにバスで海へ出かけた思い出をつくれたら、将来の公共交通の利用にも繋がる可能性があるのではないかと、この取り組みを継続させてもらっています」と平本さん。
海離れが進む子どもたちにとって第一関門ともいえるアクセス面のハードルを取り払うことで、海洋体験の機会が創出されているのでした。
学習成果を表現した特別仕様のバスも運行!
無料乗車チケットの他にも、海に親しみ興味を持ってもらう海プロとのコラボ企画はたびたび実施されていて、2018年には小学生以下の子どもたちを対象に、バス車内を魚イラストで飾り付けるイベント「海バスプロジェクト」を開催。
「お子さんたちには、図鑑を参考にしてもらったりしながら地元の海の生き物を自由に描いてもらいました。そのイラストを路線バスの窓にペタペタと貼って飾り付けてもらったのですが、親子で楽しんでいただけたと思います」と振り返ります。
また2020年には、海プロの夏の体験学習イベント「牛窓スナメリ調査団」と連携したラッピングバスも運行。学習成果として子どもたちの調査レポートを車内に掲示し、車体にも子どもたち作成のイラスト作品をデザイン。お披露目会もメディアに取り上げられ注目を集めました。
「2018年も2020年も、お子さんたちの学習成果を形に残すことを目的に企画したものです。路線バスの装飾は広告条例規制にかからないよう工夫する必要があったので、短時間での実現に苦労したところもありましたが、その甲斐あって、1台だけのラッピングバスの運行スケジュールについて問い合わせいただくなど、お客様からの反響を実感しました」
そして、これらの企画の実現にあたっては「無料乗車チケットのデザインをしてくれた岡山県立大学の学生さんや先生、水族館など関係施設の職員さんたちが、これらの企画に賛同して快く協力してくださったことにも感謝しています」と地元での協力体制に支えられたことも明かしてくれました。
「楽しむ、学ぶ、郷土を知るなど、海には多様な役割があると感じています。地域の皆さんが海に関わるきっかけづくりに、今後も関わっていきたいです。グループ企業ではバスのほか路面電車やタクシー、船といった交通機関を運営しているので、今後は学生層や社会人層、シニア層などそれぞれの年代に向けた企画にも取り組んで、地域の皆さんのお役に立てたら嬉しいです」
海へのアクセスを容易にしてくれる地元の公共交通機関は、子どもたちにとっても身近で大きな存在。いつか子どもたちが成長した未来では、海への思いもさらに大きく、地域に広がっているに違いありません。