若い10代の海や水環境の研究を“マリチャレ“がバックアップ!<助成事業者インタビュー>
熱心に取り組む10代の若者たちの研究成果にも注目。8年目を迎えたマリンチャレンジプログラム
2024.06.06

8年目の取り組みとなり、チャレンジした子どもたちの研究成果にも注目を集めている「マリンチャレンジプログラム」(通称:マリチャレ)は、海洋・水環境に関連した研究に挑戦する10代の若者に、研究費の助成や研究コーチのサポートで研究を支援するプロジェクトです。
JASTO(一般社団法人日本先端科学技術教育人材研究開発機構)と株式会社リバネスが日本財団 海と日本プロジェクトとともに立ち上げた事業のひとつで、2017年にスタートしました。
2024年度も全国の若者たちから約100件もの申請が寄せられ、40件が採択テーマとして選考されました。各チームの研究がスタートしたばかりですが、ここから8月の地方大会(成果発表会)を経て、2月の全国大会(最終成果発表会)でグランプリが決定します。
そんな10代の若者たちに寄り添い、熱量高く研究にチャレンジする彼らの姿に「好奇心ドリブンで自身の興味・関心に沿った、こちらの予想を上回る行動力もあって、驚かされています」と嬉しそうに話すのは、運営に携わる仲栄真 礁さんと、吉川綾乃さん。研究者集団リバネスの社員であり、楽しみながら子どもたちをサポートしているというお二人に、プログラム運営の背景や、若き研究者たちへの思いなどを伺いました。
予想を上回る行動力!のびのびと自由に、研究に情熱を注ぐ子どもたち
そもそもマリンチャレンジプログラムを立ち上げた当時には、「海への挑戦」を掲げて他に2つのプロジェクトが同時進行していました。海底探査の技術開発を行うプロジェクトと、もうひとつは海の新産業を生み出すプロジェクト。それらが形になる頃に必要になる未来の仲間を育てようと、マリンチャレンジプログラムはスタートしました。
また、海を対象分野にしたことについて、立ち上げ当初に採択チームのサポート役として参加し、現在は運営の統括を行っている仲栄真さんに伺ってみると、
「社員の中には、今治出身で造船などの継承に課題感を持っていたり、海洋教育をやりたい!と考えていたり、私のように海をフィールドに研究した経験があったり、海や水環境というキーワードに反応するメンバーが複数います。海は研究のフィールドとして面白いですし、社内でも関心は高いです」とのこと。
沖縄出身の仲栄真さんご自身もサンゴの研究をしていたそうで、そうした社員たちの海に対する関心や課題感が現在も原動力になっているそうです。
プログラムの募集対象者は、学校等の所属を問わない“10代の個人またはチーム”で、申請数も徐々に伸び、2022年頃から100件ほどになりました。
参加する子どもたちについては、
「好奇心ドリブンで自身の興味・関心に沿った、こちらの予想を上回る行動力を見せるチームがあります。たとえば昨年は、申請時点で『オオグソクムシを購入する手はずを漁師から整えました!』という子がいて。え、どうやって?まず買おうと思うなんて…と驚いたのですが、僕らの想定を上回る行動力をみせてくれるので、おもしろいなぁと感じます。そういうのは我々も大好物なのでウェルカムです!」と、お二人とも満面の笑顔です。エントリー資料を見るのが毎年とても楽しみなのだとか。
研究テーマもさまざまで、純粋な自分の興味を追求していたり、未来への課題感からテーマ設定していたり。若者らしい発想も、大人顔負けの研究アイデアもあり、個性を発揮しながら自由に研究してもらっているとのこと。
「印象に残っているのは、九州・沖縄ブロックのあるチームのケースですね。地元の在来種である水生生物を研究して、地方大会から全国大会へ進出したのですが、その後の遺伝子分析で実はほぼ全ての生物サンプルが在来種にそっくりの外来種だったことが判明したんです。そこから研究の方向性をまるっと変えました。
もし自分だったら嫌になって投げ出してしまいそうなんですが、あきらめずに軌道修正して、外来種ならではのポイントを楽しんで研究を続けていましたね」と、その対応力に感心したのだと教えてくれました。



マリンチャレンジプログラム2023 地方大会
研究は楽しい!歳の近い若い研究者たちが子どもたちの研究をサポート
このプログラムの魅力のひとつは、そうした子どもたちの研究をサポートする「研究コーチ」の存在です。
研究コーチは、4月から8月の期間に4回のオンライン面談で進捗状況などをヒアリングして助言を行いますが、普段からチャットツールを使ったやりとりをマメに行っていて、「今日、サンプルとってきましたー」といった報告が採択チームから入ったりもするそう。
歳の近い若いコーチからのアドバイスや励ましを心強く感じながら、子どもたちはのびのびと研究に邁進できているようです。
研究コーチは毎年募集をしていて、今年度は定員20名に対して応募数は約2倍。
教育の実績を積みたい、自分と異なる研究分野でサポートをしてみたい、同じ学術分野の仲間を集めたい、などさまざまな想いがあるようで、リピーターも含め若手研究者からの応募はすごく多い状況です。
研究コーチと運営スタッフとで子どもたちをサポートし続けていますが、やりがいとともに、苦労する点ももちろんあるそうで
「サポートするチームが夏の地方大会までに成果を出せるかどうかが、ひとつの山です。例えば、サンプルを収集していなければいけないタイミングで『全然釣れない』と報告があったりします。釣り以外でサンプルを確保する方法などをいろいろ提案して、なんとか成果を出せたときは安堵しています」
もう助言や応援の域を超えて、同じ研究仲間のような感覚でヒヤヒヤしているという仲栄真さんですが、なぜか楽しそう。
3年前の入社時からプログラムに関わってきたという吉川さんは、実は大学院時代に研究コーチを経験していて、マリンチャレンジプログラムに魅力を感じて入社されたのだとか。
「自分の研究は河川でしたが、やはり川と海はつながっているとマリチャレに参加して改めて感じています。水質の研究の幅を海まで広げると、川では見られなかった事象があったり、その逆もしかりで興味深いんです。それを中高生に伝えられていると思います。
それに中高生くらいだと大学レベルの実験はできませんが、どうやったら同様の研究ができるか改めて考えて、工夫しながら地道に取り組んでいます。そうしたところも支援していてとてもやりがいを感じています」と、まるで自分の研究でもあるかのように思いが尽きません。
仲栄真さんも「笑ってやれる研究が一番いい。“研究が楽しい”というところまで子どもたちの気持ちを引き上げてあげられるよう、あの手この手で応援して一緒に海への興味を深められるのも特徴かなと思います」とこのプログラムの魅力を語ってくれました。
