新たな視点と切り口で、利活用を促進!
全国灯台文化価値創造フォーラム開催
地域資産として灯台の利活用を促進するフォーラムを開催。全国の自治体担当者と情報共有を図りました。
2019.12.23
12月10日、灯台のある全国の自治体ご担当者が一堂に会し、「全国灯台文化価値創造フォーラム」を日本財団ビルで開催しました。
主催する全国灯台文化価値創造プロジェクトは、これまでに「恋する灯台」として51の灯台を認定し、各地の灯台を観光資源化する取り組みを進めています。今回のフォーラムでは、全国から灯台を有する自治体が集まり、地元の「灯台の利活用」について情報交換がなされました。
灯台を新しい視点で利活用している自治体を応援したい
開会に際して、主催者代表 波房克典氏(全国灯台文化価値創造プロジェクト)の挨拶に続き、来賓として海上保安庁次長 上原淳氏が「我々も灯台を新しい視点で見直し、維持管理していく勉強を始めたばかり。安全装置としてだけでなく、灯台を地域資産として振興に取り組む自治体を応援したいと思っています。今日は皆さんのような異業種のプロの意見を吸収して、今後の糧にできればと考えています」とご挨拶され、本フォーラムに期待を寄せられました。
いろとりどりな各地の取り組み事例
ケーススタディでは、フリーペーパー『灯台どうだい』編集長の不動まゆう氏から国内外の取材で培った灯台の再価値化と利活用への考察や、全国灯台文化価値創造プロジェクトの波房克典氏から「恋する灯台」の狙いや機運の高まりについてなどが紹介されました。
続いて各地の先行事例紹介として、糸魚川市「能生港灯台」、三浦市「城ヶ島灯台」「安房埼灯台」、松江市「美保関灯台」から、現状の取り組みの成果や課題が発表されました。
具体的な実績としては、ラッピング灯台やフォトスポットの創設、フォトコンテストや婚活パーティ等のイベント開催、地元メディアや交通機関、旅行会社と連携した誘客など、灯台を起点にした多種多様な取り組みが、いきいきと発表され、参加者の関心を引いていました。
利活用に向けた新たな視点と切り口を提言
続いて各分野の有識者より、灯台の魅力に迫る新たな視点や切り口について、興味深い提案がありました。
例えば、民俗学者の橋本裕之氏からは「灯台×郷土芸能」として灯台と地域信仰を結びつけるパッケージ化の提案。日米修好記念館監修委員である櫻井敬人氏からは「灯台×物語」として海難事故などの歴史的背景も継承すべき物語であるという視点。また日本ジオパークネットワークの石川智氏は「灯台×ジオツーリズム」として、灯台が立つ地理的条件を紐解きながら“環境を学ぶ場”とする活用法。そして「灯台×マンガ・アニメ」の視点から、そうした背景や物語を忍ばせたストーリーの創作が人々を惹きつけると、映像監督の糸曽賢志氏から提言がなされました。
自エリアの取り組みにも活かせそうな貴重なアイデアやヒントが、惜しげなく披露された実り多い時間でした。
プラットフォームの創設で多彩なコラボを実現
最後に、日本財団の海野光行常務理事から、「灯台には大きな可能性がありますが、まだ固定観念や現状把握不足、単独での参画など、取り組みには課題も多い。そこでプラットフォームをつくり盛り上げていく必要があると考えています。灯台から紡がれる“海と人との関わり”を大きなグランドデザインとストーリーでつなぎ、海岸線での海洋体験コンテンツを磨き上げていきたい。異分野の団体・企業・他自治体を巻き込んで、多様な視点での連携を深めながら、全国で取り組んでいきたいと思います」と、今後の灯台利活用に向けたプロジェクトの指針が示され、閉会しました。
フォーラム後には懇親会も開催され、登壇者や各自治体の皆さんによる情報交換等が活発に行われました。
新たな視点と切り口で、全国の灯台の利活用がますます促進されることが期待されます。