日本人の海への意識や行動を大調査! 「海体験」の必要性にも注目
海への愛着・関心度は海体験によって変わる !? 2019年に続く調査で見えてきたものとは?
2022.07.28
「海への訪問頻度が、海への親しみや愛着を増やし、海を守る行動や意識につながっている」という調査結果が、海の日を目前にした7月15日に発表されました。
これは日本財団が2年ごとに行っている「海と日本人に関する意識調査」からの分析です。日本人の海への意識や行動を定点観察し、課題を抽出することを目的とした調査で、本来2021年度に予定していましたが、コロナ禍という状況を踏まえ今年実施されました。
初回の調査が行われたのは海と日本プロジェクトがスタートした翌年の2017年。3回目となる今回の調査ではどんな結果が出るのか、海に関するさまざまな取り組みの成果は見えるのか、興味深い内容でした。
調査結果を踏まえ、見えてきた課題や展望を今後の運営に生かしながら、海と日本プロジェクトは全国で活動を継続していきます。
*調査期間は2022年6月10日〜15日、サンプル数は全国47都道府県に居住する15歳〜69歳の男女、11,600人を対象に実施されました。
2022年は「海に行っていない」人が増えて「海に親しみを感じる」人が減少
今回の調査で、ひとつ明らかになった残念なデータは、「海に親しみを感じる」という回答が2019年の調査と比較して減少してしまったことです。同時にコロナ禍による影響からか「海への訪問日数」も直近1年で「0日(海へ行っていない)」と回答した人が増えていて、海への親しみと訪問頻度との相関関係が見えてきます。
また「海へ行っていない人」ほど「海を大切に思う気持ち」が低くなっていて、これは逆説的に言えば、海体験の減少が新しい課題を引き起こす可能性を含んでいる、ということ。
まずはコロナ禍に減少した海の体験機会を増やしていくことが大切だと改めて認識しました。
一方、この調査とは別に、海と日本プロジェクトに参加された子どもたちを対象に行った同様の調査では、「海が好き」の回答数も、海洋問題への認知度も、一般と比べて30%近くも高い結果が表れました。これまで提供してきた海体験や学習機会の必要性を実感するとともに、今後も地域コミュニティや教育現場との連携を強化しながら、海を体験する「場づくり」を進めていきます。
海の未来のプロジェクトに子どもたちの高い関心が集まる
今回の調査で大きな希望を感じられたのは、海の未来に寄与するさまざまなプロジェクトへの関心が高かったこと。「無人運行船プロジェクト」「洋上風力発電開発プロジェクト」などさまざまな新事業に対して関心がある人は約4割。とくに10代の子どもたちの関心度が高く、計画中の「海の新種生物発見プロジェクト」には二人に一人が関心を寄せていました。
子どもたちが新産業・新分野の開拓に関心を寄せてくれていることは、未来への希望。ただ、未知なる海の解明は、ロマンであると同時に課題でもあり、課題を引き継ぐ子どもたちにどう伝えていくのか、周りの大人が努力を続ける必要があります。
子どもたちが「大人になったら携わりたい」と思えるような体験ときっかけづくり、場づくりを、これからも全国で提供し続けていけるよう願っています。